南鳥島海域での資源探査国際機関からの承認取得

経済産業省の委託を受けたJOGMEC は、南鳥島の南東沖約
600 ㎞の公海域におけるコバルトリッチクラストの探査鉱
区(面積3,000 ㎞ 2)について、国連海洋法条約に基づき
深海底の鉱物資源を管理する国際海底機構から承認を得ま
した。


今回の承認は、我が国が海外に供給の太宗を依存するコ
バルト、ニッケル、白金等のレアメタル資源について、
今後の我が国による探査活動の実施、将来の資源開発
の可能性を高める観点から、極めて意義深いものです。


1.概要
経済産業省は、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属
鉱物資源機構)を通じて、昭和62 年から西太平洋の公海域
の深海底で、コバルトリッチクラストの賦存状況調査を実
施してきました。


平成24 年7 月、国際海底機構コバルトリッチクラスト
鉱区の探査規則が採択され、鉱区申請が可能となったこと
を受け、直ちに南鳥島の南東沖の深海底で探査鉱区(面積
3,000 ㎞ 2)の申請を行い、今年2 月の国際海底機構法律
・技術委員会の審査を経て今回承認されました。


今後、JOGMEC は、国際海底機構との調整を経て、本年度
中を目途に同機構と契約を締結し,同機構から15 年間に
わたり当該鉱区を探査する排他的な権利を取得した上で、
コバルトリッチクラストの資源量を把握するための本格
的な調査や環境保全に配慮した開発技術等の調査研究に
取り組む予定です。



(参考1)コバルトリッチクラスト
水深1,000〜2,000m の海山の頂部や斜面を厚さ数cm〜数
10cm でアスファルト状に覆っている、コバルト、ニッケ
ル、白金等のレアメタルを含む鉄・マンガン酸化物です。


(参考2)深海底
国連海洋法条約第1 条に定義され、国の管轄権の及ぶ区
域の境界の範囲の外の海底及びその下をいいます。


2.経緯の詳細
公海域の海底である深海底における鉱物資源の探査・開
発は、国連海洋法条約及び同条約第11 部の実施協定に
基づき、国際海底機構の定める規則に従って、鉱区の申
請、活動の実施が求められています。


金属鉱業事業団(現:JOGMEC)は、日本政府が同条約に
署名した翌年(昭和62 年)から、コバルトリッチクラス
トの調査を開始し、将来採択される探査規則に備え、有
望海山の選定、賦存状況評価等を行い、鉱区申請の準備
を行ってきました。


平成24 年7 月、国際海底機構が、マンガン団塊(平成12
年)、海底熱水鉱床(平成22 年)に続いて、コバルト
リッチクラストの探査規則を採択したことから、JOGMEC
は、直ちに探査鉱区の申請書を同機構事務局に提出しま
した。


その後、JOGMEC が申請した探査鉱区については、平成25
年2 月に行われた同機構の法律・技術委員会の審査を通
過し、同委員会からの承認勧告を得て、今回の国際海底
機構理事会での正式承認に至りました。


なお、我が国の企業等が、国際海底機構から深海底にお
ける排他的探査権を取得すれば、昭和62 年にハワイ南東
沖でマンガン団塊鉱区(面積75,000 ㎞ 2)を取得して以
来26年ぶりとなります。




南鳥島の近くの海域には、かなり豊富な天然資源が埋蔵さ
れているという嬉しい情報は、以前確認していたのですが、
いよいよ、実施工程の段階へと進展してきたようですね。




日本が有する技術力を大いに発揮して、所定の目的を達成
し、国益に充分資することを期待しています。




どうか、中国に邪魔されないよう、政府の外交姿勢も、ヘッ
ピリ腰にならないよう、気を引き締めて取り組んでいきま
しょう。