円高ドル安を背景にドルショップ増殖中

最近の「円安ドル高」は、輸出業にしてみれば追い風の
ようだが、一般庶民の暮らしにとっては、輸入品などの
値上げなどありがたくない側面もある。


しかし、このところの「ドル」をめぐる国内の話題は、
それだけではない。


今ドルが使えることを特徴として、消費拡大や地域活性化
を目指そうとする商店街の動きが活発化している。


もちろん日本の通貨は「円」。
だが、国内でも「ドル」は使える。


これは1998年の「改正外国為替法」施行にともない、
いわゆるドルショップの開設が可能となったためだ。


従って、店舗がドル払いも受け付けるとうたえば、誰で
も円とドルの両方を使ってショッピングが楽しめる。


例えば、家電量販店の「ヨドバシカメラ」も、各店舗で
の支払いにはドルを選択することも可能となっている。


国内でドルショップが多いのは、やはりドルを自国通貨
とする人が多く存在している在日米軍施設を有する地域
にある店舗であり、商店街だ。


そんな商店街の中で、ドルが使えることを特徴としてア
ピールする先駆けとなったのは、横田基地のある東京都
福生市(ふっさし)。


同市では、2010年の8月から展開されており、評判は上々。
軍の施設関係者はもちろん、国内に居ながらにして米国
の雰囲気を味わえると、日本人の観光客からも大歓迎さ
れている。


この状況に、同様の環境で商売を行う各地の商店街も、
大いに刺激を受けたようだ。


7月1日から8月31日までの2カ月間と短期だが、神奈川県
横須賀市の商店街でも行われる。


「夏の横須賀ドル旅まつり」は、横須賀市と横須賀集客
促進実行委員会が行う観光キャンペーンだ。


期間中は、ドブ板通りを中心とした飲食、物販などの店
舗や、市内の主要観光施設での決済は、円・ドル、どち
らの通貨でも対応する。


さらに海兵隊基地のある岩国市(山口県)でも、ドルも
使用許可が検討されており、早ければ今年中にはスター
トする見通しだという。


福生の成功例が、全国の商店街でも当てはまるのだろうか。
そんな疑問の1つの答えともいえるのが、昨年2月にトラ
ベルジャーナルが実施した「海外旅行に関する調査」の
結果だ。


同調査によると、旅行先から持ち帰ったドルを含めた外
貨は、そのまま自宅に保管する人がほとんどで、その推
定総額は日本円に換算して約1兆3,252億円になるという。


海外旅行の経験者は、一度自宅の引き出しなどをチェッ
クしてみると、商店街で使えるドルなど眠れる外貨が、
かなり高い確率で発見できるかもしれない。


これこそまさに埋蔵金の発掘というところか。
同時にこうも言えますナ。「窮すれば通ず」と。


不況のあおりを受けてこれに不平不満をのべるだけでなく
円安というこの状況をどうやって商売に結びつけていくか
ということに思考法を傾注するこの手法こそが、「ガン
バル」のではなく「工夫」するというここにこそ、日本人
の商人の真骨頂を見る思いがしますナ。