呼吸法による心身健康法

例によって、ネットサーフィンでの拾い物ネタです。
貴方のお役に立てればいいのですが。



うつ病は心の病ではありません、脳の病気です。
大事なことですのでよく覚えてください」と、うつ病
テーマにしたテレビ番組で心療内科医が語っていた。


「脳の病気」だから薬で治しましょう、と言いたいのだろうか。
薬効は否定しないが、脳の治療だけを当たり前とする考
え方には異を唱えたい。


そこで今回は、“呼吸法の伝道師”ともいえる体内対話
の椎名由紀代表に、心身を健康に導く呼吸法とは何か。


誰にでもできるが、意外にも知らなかった呼吸の仕方と
そのエビデンスを聞いた。


■朝、元気スイッチが入る腹式呼吸

 ―― 心身が健康であれば、抑うつ状態に陥らない。
もちろん他の病気にもなりにくいのはわかります。
問題はストレスが多い現状で心身の健康をどうやって維
持するかです。


その答えが呼吸法の習得にあるということでしょうか。



椎名:呼吸は生きるため、肺に酸素を供給する動作です。
みなさんは無意識におこなっているはずです。
それを意識して姿勢と呼吸を調え腹式呼吸をすることで、
不思議ですが、心が落ち着いてきます。


「息」は「自分の心」と書くゆえんです。
血行がよくなり、自律神経を活性化させ、固まった心身
を緩めていきます。


呼吸がもつパワーは集中力を高め、コミュニケーショ
ン力を向上させ、リラクゼーションとメンタル強化につ
ながります。
その効果は、科学的に実証されています。

一般的に腹式呼吸をすると副交感神経が優位になるの
ですが、確かに日中、交感神経が高まり過ぎてしまった
時には効果があります。

しかし、朝は真逆です。
寝ているときは副交感神経が優位な状態が続いています。
朝起きて腹式呼吸をすることで、自律神経自体が活性
化するので交感神経が刺激され覚醒してきます。


寝起きでも、シャキっとした状態になれます。
これは元気レベルが向上していくということであり、
元気スイッチがオンになると考えてください。


低体温で、低血圧で悩んでいた私でしたが、今は朝から
元気一杯です。
毎朝、ZEN呼吸法をすることで毛細血管にまで血液が届
くような温かさを感じることができます。


うつ病抑うつ状態の人で、朝は元気という人は少な
いはずです。


社会にある様々な不安、仕事での悩み、過労が加われば、
朝は辛いはず。


その辛さを日中に引きずり、無理して働き、さらにス
トレスを蓄積して、また翌朝を迎える。


個人差はありますが、限界に近づくまで繰り返してい
れば、心と身体が不調になるのは当然のことです。


朝、起きたら腹式呼吸をして、元気スイッチを入れ、
日中のストレスは腹式呼吸で掃出していけば、心の健
康は必ず保てます。


それは体調にも及ぼします。
自律神経を活性化させ、交感神経と副交感神経のバラ
ンスをよくすることが、健康維持には何よりも大事な
ことです。


栄養ドリンクやマッサージ、薬などに頼るよりも自分
自身で内側から心身の健康を調えていくことが必要です。
内側が変らなければ対処療法的なことをいくらやっても、
元に戻ってしまいます。


また、呼吸法といっても、いろいろとあります。
運動選手ならば、必ず呼吸法を学ぶのではないでしょうか。
ただし、これは“動の呼吸”です。


これに対して心身の健康は“静の呼吸”です。
奮い立たせる呼吸と落ち着かせる呼吸の違いです。
ヨガの呼吸も動の呼吸になります。


横隔膜を上下させて血行を改善する呼吸法
 

―― ラジオ体操では最後に深呼吸をします。

緊張した時に深呼吸をするといいと聞きますが、この
要領で呼吸をするのでしょうか。


椎名:ラジオ体操のような深呼吸と腹式呼吸を取り入れ
たZEN呼吸法は違います。
ラジオ体操の深呼吸の場合は、腕を上げて胸郭を広げ
るような形で呼吸をします。


つまり胸式呼吸です。
これに対して腹式呼吸は横隔膜を上下させ内臓を動かす
ことで、効果が出てきます。


どちらも同じ呼吸であり肺に空気を入れるのですが、胸
式呼吸は上半身の筋肉をたくさん使うため疲れます。


それに対し、息を吸う時に下腹部を大きく膨らませ、吐
く時におへそを背骨に近づけるように腹をへこませていく、
深い腹式呼吸をすれば、肺の下にある横隔膜が上下に大
きく動くので、吸う時に肺は下へ伸び、吐くと上で縮みます。


人により差はありますが、肺の容量は通常約2500mlとい
われ、下へ大きく伸ばすと倍近く膨らみます。逆に縮め
ると1500mlにまでなります。


この動作を一定時間繰り返すだけで、内臓を活性化させ
血流を良くしていく、その波及として自律神経をもレベ
ルアップさせていくのです。


そうすれば、うつ症状などの神経系だけでなく、筋骨格
系、循環器系、消化器系の自律神経を活性化させ正常な
状態を回復させていくことができます。


ただの呼吸ですが、単なる呼吸ではありません。
人間が本来持っている機能を蘇らせる、自然に近づける
呼吸法です。


 ―― どのように腹式呼吸するのが効果的なのですか。

椎名: 呼吸は鼻からが基本です。
口は食べるため、話すために使うもの。
鼻は鼻毛や鼻腔内の繊毛、粘膜があり、これらが
ウィルスなどの細菌を取り除き、冷たく乾いた空気
を加温、加湿して肺に送ります。


息を吐くことが大事です。
肺に溜まった空気を少しずつ、生糸を1本ずつイメージ
して吐ききれば、スペースができて自然にたくさん入っ
てくるはずです。


身体の中心軸とへそがぶつかる部分を「ローワーコア
(Lower Core)」と私は呼んでいます。


一般的な呼吸法でいう「丹田」です。
この位置を探り当てるのが難しいのですが、できれば、
そこに向けて上から呼気を落とすようにして吐きます。
吸う時はローワーコアから上に向って息を吸い上げるよ
うにします。


姿勢は、天地を真っ直ぐに結ぶよう、足は腰幅で八の字
に開き、足の指を開いて足裏全体で大地を押すように立
ちます。


背骨の土台である仙骨を立たせます。
まだ、細かいポイントがありますが、この姿勢を基本に
して腹式呼吸を行う、さらにストレッチと組み合わせて
いけば、心身が向上していくことを日増しに実感できると
思います。


今、自分はどのような呼吸をしているかチェックしてく
ださい


 ――このような呼吸法との出合い、現状の活動状況などは。


椎名:頭痛、肩こり、めまい、冷え性などに悩み、10代の
   頃から医者通いの日々を過ごしてきました。
   原因は不明です。
   心療内科医にもかかりました。


   呼吸法に出合ったのは友人から紹介されて、最初は
   ウサン臭いと感じましたが、何でもいいから試して
   みようと思ったのがきっかけです。


   そこで知った江戸時代の禅僧である白隠が実践した
   呼吸法を私がメソッド(論理的手法)化したのが
   ZEN呼吸法です。


   現在は、企業に出向いて行うメンタル健康教室や
   名古屋、京都、大阪での呼吸法教室、東京のスタジ
   オでの教室開催などを行っています。


   参加者は地方だけでなく、アメリカ、ニュージー
   ランド、ギリシャの空手家などグローバル化しています。


   20〜40代女性が大半ですが、母親に連れてこられる
   小学生もいます。


   子供のころは自然に腹式呼吸をしているのですが、
   やりたくないこと、じっとさせられると呼吸は浅く
   なっていきます。


   力みが入るからです。
   被災地の子供たちにも呼吸法を伝えていますが、
   どうしてと思うほど、みんな呼吸が浅い。


   まるでストレスで疲れきったサラリーマンみたいです。
   それほど精神的に辛い経験をしているのだと思います。


   今、自分はどのような呼吸をしているのかチェック
   してみてください。


   浅く早い呼吸ではないですか。
   イライラしていませんか。


   そのような状態が長く続くといい結果はでてきません。


   前述したように、入ってくる分だけ鼻から吸い込んで
   横隔膜を下げていきます。


   内臓が動けば血流が増え全身の血液循環がよくなります。
   ストレスも吹き飛びます。うつ状態からも解放されて
   いきます。


   何もしなくても呼吸はしていますので、ついつい
   腹式呼吸を忘れがちです。


   常に自分の心身と向き合うことが大切であり、そこで
   私は会社名を「体内対話」としました。


   貴方は貴方という自分株式会社の社長です。
   頭が痛い時は頭がストライキを起こしている、お腹
   の調子が悪い時は腸の機嫌が悪いのです。



   なぜ社員たちは言うことを聞いてくれないのかは
   社長に責任があるのです。


   正しい呼吸法をすれば、全社員が喜んで働いてくれます。

   気分が落ち込んだとき、何もしたくない、できない
   状態でも呼吸はしているのですから、そんなとき
   こそ自分のために数分間の腹式呼吸をしてみてく
   ださい。


   「息」は「自分の心」です。
   穏やかで落ち着いた呼吸で、心も和やかに過ごし
   ていきましょう。


  椎名由紀(しいな・ゆき)
  1975年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
  第40代ミス東京第1位。10代の頃から続いた心身の
  不調を呼吸法で克服した経験を元に「ZEN呼吸法」
  を伝える活動を行う。
  早稲田大学レスリング部や大手企業のメンタル健康
  講師などを担当。
  東京を拠点に全国各地で体験教室を開催する。
  雑誌などでの特集も多い。
  著書に『呼吸ひとつで「怒り」「イライラ」がすっと
  消える本』(宝島社) 『呼吸美メソッド』(双葉社
  など。






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