食品メーカー値上げ続々公表
食品メーカーが相次いで値上げを発表している。
急激な円安の進行により、穀物など原料の多くを輸入に頼る国内の
食品メーカーは、大幅な原材料コスト増に見舞われた。
昨年の穀物価格高騰などの要因も重なり、油脂メーカーは昨年度に
続き、4月に再値上げを行った。
油脂の調達価格が4割上昇したため、キユーピーや味の素はマヨネ
ーズ類を値上げする。
このほかでも小麦価格上昇を受け、山崎製パンも7月に値上げに踏み切る。
「為替が1ドル=80円の時点でも厳しかったが、100円を超え、自助努力
では吸収できないと判断した」と、あるメーカー幹部は話す。
かつて2007〜08年にも、世界的な穀物高を背景に食品メーカーが相
次いで値上げを表明した。
当時はリーマンショック後のデフレ下であり、値下げ圧力が強く、
価格転嫁は困難を極めた。
だが、今回は当時と様相を異にする。
4月に値上げを発表した日清オイリオグループは「4月以降、家庭用
油脂の店頭価格が徐々に上昇してきている。
原料高と円安で、ほかの食品もコストアップとなり、風向きが変わ
ってきている」と話す。
同様にJ-オイルミルズも「4月以降、20円程度は値上げできており、
小売りの店頭での特売時の価格が徐々に上がっている」とする。
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■ 広がる容量減による値上げ
値上げ浸透には、急激な円安という理解されやすい要因が大きい。
加えて油脂は原材料のほとんどが輸入物の大豆や菜種だ。
いずれも昨年急騰した穀物で、ストレートにコスト増に直結した。
原材料の約7割が油脂であるマヨネーズも同様の傾向にある。
原材料価格の影響が大きい商品やメーカーの寡占程度が高い商品
については、小売業者も値上げを受け入れる環境が整いつつある。
一方、「今後、値上げをすべて受け入れることはできない。
どこまでのむかは、交渉次第」(食品スーパー)との声もある。
メーカー側もあの手この手で対策を打っている。
価格は据え置き、内容量を減らすことで、原材料コストの上昇分
の一部を吸収しようとする実質値上げの動きも出始めている。
輸入豚肉などの原料高騰を受け、日本ハムは7月からソーセージ
などで価格は変えずに容量を5〜11%減らす。
主力商品のソーセージ「シャウエッセン」は本数を維持したまま
1本の内容量を約2グラム減らす。
はごろもフーズも5月、主力のツナ缶「シーチキン」2品の容量を約
10グラム減らす実質値上げを行った。
主力2品は特売の多い商品であり、容量を減らしても値頃感を維持
する。
今後の焦点は、まだ値上げを表明していない菓子や即席麺メーカ
ーの動向だ。
値上げを視野に入れるメーカーも多いが、原材料が多岐にわたり、
メーカー間の競争も激しく、油脂のように値上げが理解を得られる
か未知数だ。
容量を減らすにしても、カップ麺のように1食分の量がある程度決ま
っている商品や、内容量に敏感な固定ファンがいる菓子では、対応
が難しい。
ある菓子メーカーは「新商品を中心に、原材料の種類や配合の見直
しを検討していく」という。
値上げ、実質値上げとも難しい状況では、商品改廃時に安価な原材料
に切り替えるなど、品質を犠牲にするケースも出てきそうだ。
「メジャーな商品になればなるほど、消費者は内容量をわかっており、
容量減は“実質値上げ”と言われる」(大手スーパー)。
小売り側の納得を得るのは簡単ではない。
14年春には消費増税も控える中、価格をめぐるメーカーと小売りの攻
防は激しさを増しそうだ。
アボノミクスの負の面が現れてきたようです。
この局面での政策はどう変わっていくのでしょうか。