マイホームが競売の危機に 平成の「徳政令」期限切れ

マイホームを強制的に取り上げられる人が急増しそうだ。
3月末で「モラトリアム法」(中小企業金融円滑化法)が期限
切れになり、年内だけでもローン破産する家庭が約10万世帯
に達する可能性があるのだ。


09年12月から始まったモラトリアム法で、リストラや会社
の倒産などで住宅ローンの支払いが滞っていた庶民も、返済猶
予などの恩恵が得られた。


だが、この法案が失効した直後の今年4月、「配当要求終期公
告」で自宅を裁判所に差し押さえられた人は、東京23区だけ
でも約200件。
前年同月比で1割ほどの増加だ。


これからもっと深刻な事態が来る。
住宅金融シンクタンク「三友システムアプレイザル」の森信愼
二郎氏がこう言う。


「競売の数字ではっきり出るのは、6カ月ほど先になります。
法案が終了しても、すぐに返済に行き詰まるわけではありません。
これからが心配です」


マイホームを手放すまいと数カ月は持ちこたえるが、いずれは
パンクしてしまうという予測だ。


モラトリアム法で返済猶予を受けていた住宅ローン債務者は、
昨年9月時点で延べ23万件、支払猶予額は3兆6000億円
に達する。


09年に年間6万2000件ほどだった競売件数は、この法律
の施行によって年間で約1万6000件も減った。


つまり、3年間で約5万世帯が自宅の差し押さえを“延命”さ
れたことになる。


だが、法律がなくなった今、今度はこの5万世帯が一気に破産
する可能性が出てきたのだ。


また、モラトリアム法の恩恵に浴さない今年の競売も、例年通
りであれば年間6万件ほどある。


合わせると、11万件近くになる計算だ。


「ローン金利も上がる可能性があり、変動でローンを組んでい
る家庭は苦しい。



当サイト23.4.1日付で記載していましたことが、現実化してきたようです。次にその時の記事を記載しておきます。



リーマン・ショック後の経済危機下にあった2009年当時、
金融担当大臣だった亀井静香氏が時限立法のかたちで推進した
平成の徳政令「中小企業金融円滑化法」が、今月末で期限切れ
を迎える。


この法律を簡単に説明すると、経営が厳しい中小企業が抱える
借入金の返済期限延長や金利減免などの措置を、銀行などの金
融機関に対し“半強制的に促す”内容。


この効力が失われた途端に、大量の中小企業が倒産すると予想
されている。


東京商工リサーチが全国407の金融機関に対して行なった調
査によると、「中小企業金融円滑化法」に基づいて融資の返済
猶予などを申し込まれた件数は、2012年9月時点で実に3
90万件以上もあり、金額にして106兆円を超える。


それに対し、返済期限の延長や毎月の支払いの減額、金利の減
免などの返済条件の変更が実行されたのは約363万件で、金
額にして約99兆5600億円。


その実行率は金額換算で93.8%と異常に高い。
この特別措置のおかげで経営状態が回復した企業はいいが、問
題なのは“不良債権予備軍”の企業がどれくらいの割合で存在
するのかということだ。


東京都産業労働局金融部が、昨年秋に都内の中小企業1万社を
無作為抽出して行なった調査データがある。


その中の「金融円滑化法終了による経営への影響」という質問
に対する回答は驚くべきものだった。


「特に影響はない」と回答した企業はわずか12.4%で、
「経営継続が困難となる」と答えた企業が48.4%にも上っ
たのだ。


この割合を上記の融資条件変更が実際に行なわれた総額である
99兆5600億円に掛けると、約50兆円にも達する。


債務返済不能に陥る確率の高い“不良債権予備軍”は、莫大な
規模なのだ。


外資系金融機関のエコノミスト、T氏が分析する。

「融資条件を変更した企業のうち、半数近くが経営困難になる
と回答したのは衝撃的な結果です。


ただ、これらがすべて不良債権化するわけではありません。
返済期限の延長や、毎月の支払額を減らすといった内容の条件
変更をした企業の場合、経営状態が回復する可能性も十分に残
されています。


本当に深刻なのは、金利の減免や債権カットの措置を受けてい
る企業です。

これらはかなりの確率で不良債権化する恐れがあると考えてい
いと思います」


帝国データバンクが昨年末から年明けにかけて全国約2万30
00社を対象に調査したデータによると、「中小企業金融円滑
化法」を利用して融資条件の変更を受けた企業のうち、
債権カットや金利の減免の措置を受けた企業の割合は計14.
6%であった。


この数字を上記の99兆5600億円に掛けると、約14兆5
000億円。


これだけの不良債権が一気に噴出すれば、大型の補正予算を組
んで行なう景気刺激策の効果などあっという間に吹き飛んでし
まう。


好調に見える「アベノミクス」だが、砂上の楼閣にすぎないの
かもしれない。


週刊プレイボーイ13号「アベノミクスが日本経済を地獄に
突き落とす!!」より


難しい数字を駆使しての経済論議は、元々敬遠していたのでは
あるが、平成の「徳政令」の期限切れに伴う、経済変動に関し
ては、例え難しかろうとも、強い関心を寄せざるを得ない。


日本経済の先行きに、明るい展望を見い出せるのか否か、祈る
ような気持ちで、これからの成り行き、ニュースに見入ってい
く積もりです。




    福岡市 司法書士