秋の味覚

 先日、知人の某氏宅へやはり知人の中高年3人が招かれたので、この三人が同行した際に同じ車の中で、
 招待した某氏の誘い言葉が「秋の味覚を用意してます。」という内容だったので、そのことが車中での話題となったのである。、


「秋の味覚」とはなんぞやということで、三人三様の答えを出し合った中で、私一人が栗、柿、梨等の果物を回答したのに対し、あとの二人は「絶対に松茸」と答えていた。


 果たして某氏宅へ到着して、膳に出てきたのは松茸であった。


 ここで、はしなくも持てる者と持たない者との差が歴然と出てしまったのである。
 持たない私は、「秋の味覚」と言われて果物類しかイメージできない庶民であり、あとの二人は庶民には手が届かぬ松茸をイメージできるのである。


 しかし、何はともあれ、出てきた松茸に異常な反応を見せて携帯でシャッターを押し続ける私に同席者は呆れ返って、ただ私の所作を眺めていた。
 そのうち、一人が笑いながら「頬っぺたをつねらなくてもいいんですか?」と問いかけてきた。

 夢をみているのではないかとの諧謔なのである。
 松茸は高価でり、中々簡単にはありつけない身にはさすがに応えたが、招待者である某氏は、なぜか大変喜んでくれていたようだ。


 しかも、厚かましいことに、出された松茸には手を付けずに、そっと家族に持ち帰ってきたものである。
 なんとも浅ましい、セコイ話ではある。


 下の画像小粒なのが中国産、それより少し大きいのが韓国産松茸である。