噂雀のオシャベリ 雅山新年初白星に涙 

噂雀のオシャベリ初日から8連敗していた幕尻の元大関雅山玉鷲を引き落とした。
新年初白星に、花道を引き揚げる際に感極まって号泣した。


横綱日馬富士が関脇豪栄道をはたき込んで9戦全勝とし、
白鵬大関復帰を目指す関脇把瑠都を一気の寄りで退け、1敗
を守って勝ち越した。


1敗で白鵬と平幕宝富士が続き、2敗には大関稀勢の里ら4人
が続いている。


涙が止まらなかった。
雅山は土俵を降りて、花道に立つと感極まった。
「家族やたくさんの方に心配をかけた。
申し訳なかったし、勝った時の拍手が温かくてこらえられなか
った」と振り返った。


9日目での初勝利。
玉鷲の突き押しに後退も突き返し体を開いて引き落とした。
「はたかず出たいが…」。納得はしていないが、誇らしげに顔
を上げた。


侑加夫人(28)、雅巧くん(3)、雅高くん(1)。家族全
員が国技館で応援した。


「妻は相撲のことを一切言わない。毎日手料理をつくってくれ
る」と感謝した。


「相撲で号泣したのは2度目です」と明かした。


1度目は所要12場所で昇進した大関から陥落、
左足首の手術で2場所休場して迎えた02年春場所初日、玉春
日に勝った時だ。


国技館から家路につく際、侑加夫人から「おめでとう」と声を
かけられ、2人の息子になつかれた。


「涙もろくもなるでしょう」と感慨深げだった。


幕尻で負け越し、来場所の十両陥落が濃厚だ。
十両に陥落した元大関の現役続行は、77年夏場所大受(初
日から3連敗して引退)と、野球賭博問題による休場で陥落し
た10年秋場所雅山しかいない。


それでも師匠の藤島親方(元大関武双山)は「ボロボロになって
辞めるのも美学。


本人に任せる」と話した。


雅山は「気持ちは切らしていない」と現役を続ける意向。
限界が近くとも、息子が自分の相撲を理解するまで心は折れない。


雅山大関に昇進する前後の頃の雅山の強さをテレビを通じて
見知っている私には、雅山の現状を、想像すらできなかったし驚
きをもって知ることとなった。



勝負の世界の一種残酷さというものを、窺い知ることができたと
言えよう。


華やかに白星を重ねていく力士もおれば、たった一つの白星に
涙する力士もいる。


この明暗が対照的で、はっきりと表出するのが勝負の世界では
あるが、光の部分でなくその狭間にある暗の部分にスポットを
浴びせるのもマスコミの持つ力強さでもある。



この取材姿勢には、大いなる賛同の意を送りたい。






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